表紙に目が留まって購入。目次には様々な芸能人(+ゴルゴ)が並んでいますが、単に成功者の事例紹介だけではありません。事例の共通点から構築された法則で、オリジナルのマーケティング戦略を考案できる本です。
「自分マーケティング」とは
自分という商品の市場価値を高める方法
「自分マーケティング」とは、
自分を商品に見立てて冷静に分析し、
マーケット(顧客、取引先、上司、業界etc)の求める要素に近づけていく作業を通して
市場価値を高め、多くの人に自分の存在を知ってもらうこと
と説明されています。
以前読んだ本 で紹介されていた考え方は「錯覚資産を手に入れるために、まずは小さく賭けて成果を出す」というものでした。具体的にどの分野を市場に設定するかを見つける作業が「自分マーケティング」で、それを錯覚資産に変えるのが「ブランディング」といえそうです。
アイドルの事例が参考になる理由
外見や歌・ダンスなど、何かで光る魅力を持った存在ばかりがオーディションで選抜されてデビューするのがアイドルグループ。アイドルとして求められる要素が高水準でまとまった集団で頭角を現すのは、放っておいても注目されるような才能を持つ天才型か、自分ならではの個性を見つけ、「自分マーケティング」に成功した努力型のいずれかです。
天才型であれば真似できませんが、努力型の事例を通して学ぶことはできそうです。
自分の強みを知るための方法
自己分析のための心理学的なモデルとして「ジョハリの窓」というものがあります。自分軸と他人軸のそれぞれで、知っていること/知らないことを分類していく考え方です。これを応用して強みを見つけるには、次のような方法があります。
・自分は知っているが、他人は知らない部分
…他人には知られたくない自分の弱みが、裏返せば強みになることがある
・他人は知っているが、自分は知らない部分
…自分では分からないので、他人に聞くしかない。
※周囲に自分の強みを聞きまくって「こいつめっちゃ自分探ししてるやん!」と思われるのが恥ずかしい人のために、
『自分に何かの「役割」や「仕事」が振られたとき、「どうして自分にその役割や仕事を頼んだのか?」を質問する』
という方法が紹介されています。これは上手い聞き方だと思いました
・自分も他人も知らない部分
…見つけることができれば最強の強みになる可能性があるが、チャレンジを通して発見するしかない。
※「一点突破する戦術」のなかで、できそうなことを実践していくうちに見えてくる
一点突破する戦術
とがらせるポイントを決める
一般的なビジネスパーソンを評価するための基準として、次のような軸があります。本書では、印象に残りやすくなる効果を狙って、 次のうちどれか一つを重点的に伸ばすことを勧めています。
キャリア型…経歴や過去の実績に基づく安心感がある。行動力があり目立った成果を上げるが、個人としてスキルがあるわけでは必ずしもない。
スキル型…その人個別の能力。うまく差別化できないと価格競争に巻き込まれる。時代の変化でそのスキルが不要になるリスクもある
人柄型…性格、協調性、熱意などの人間的魅力。その人に協力してくれるであろう人脈も含む。「どうせ頼むならあの人に」となりやすいが、一定以上のスキルがあることが大前提。
誰もいない場所にヒットを打つための「9つの戦術」
誰の目にも明らかな才能やスキルがない場合は、競合が誰もいない場所を狙ってチャレンジしてみて、手ごたえを感じたら深堀りするスタンスが大事です。以下のような戦術が紹介されています。
①業界の当たり前を言語化して発信する
②自分が興味あることにどっぷりハマる
③誰かの役に立つことを徹底的に提供する
④狭い分野でナンバーワンになる
➄ノウハウを法則化してわかりやすく伝える
⑥とにかく自分が欲しいものを作る
➆自分に求められているものを提供する
⑧わかりすいキャラを構築する
➈二つのジャンルを掛け合わせる
本書ではそれぞれの戦術で事例が紹介されていますが、とくに印象的なのは自費出版でした。「小型車が一台買えるくらい」で日経新聞に広告を打てるものなんですね。
商品価値を高めるための「三種の神器」
自分を思い出してもらいやすくするためのキーアイテムです。
剣…相手の心に刺さるキャッチコピー。志や目標をビジョンとして、わかりやすく覚えやすい言葉で示す。共感する人が増えると応援してくれる。
鏡…自分を輝かせる「プロフィール」。自分の経歴を振り返り、意味づけすることでストーリーを持たせ、読み手の興味を惹きつける。数字を入れて具体化すると効果的。
玉…幸運を運んでくる「タグ」。「〇〇〇といえばこの人」のような、特徴を一言で表すキーワード。様々な機会に何度も発信することで人の頭に定着し、思い出してもらいやすくなる。
※逆にアンチタグというのもあって、これは「やりたくないこと、やらないこと」を発信することで、それらを遠ざける魔除けのような機能を持たせたものです。最近ツイッターで自分の弱みや苦手なこと・ものをつぶやいているのを見かけますが、まさにあれがアンチタグといえます。
この投稿のINPUT
自分マーケティング 一点突破で「その他大勢」から抜け出す/川上徹也
(ISBN978-4-396-11557-9)
人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている/ふろむだ
(ISBN978-4-478-10634-1)
以上です。読んでくれてありがとうございました。
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