【読書メモ】死ぬほど読めて忘れない高速読書

表紙 読書メモ

 通勤電車で読んでた人がいたので、気になって読んでみました。
本書でいう「高速読書」は、いわゆる「速読」とは全く異なるというスタンスで書かれていますが、大きな括りでは同じと考えます。

 なのでまずは独断と偏見で速読法を分類し、次に高速読書との位置付けを考えます。

速読法の分類

能力開発系~とある異能の読書術~

 誰もが持つ潜在能力を覚醒させて読書スピードを飛躍的に向上させよう、という試みです。 周辺視野を活用して視野を広げたり、 眼球を高速で動かして文字を追うスピードを速めたり、ページを写真のように記憶して必要な時に読み返したり。

 しかし、ぼく自身は懐疑的に捉えています。
「できるようになった」と主張する人を否定はしません(きっと、今まで食べたパンの枚数とかもばっちり覚えてるんでしょう)が、自分に習得できるとは到底思えません

要点抜粋系~ルートは最短をとるぜ~

 必要な情報を効率よく集めるための拾い読み。そもそも全てのページ、全ての文章を読む必要はないという、思い切りの良さが肝心です。

 まず目次を把握して重要そうな部分のあたりを付けるとか、あらかじめ読書の目的を明確にして、そこ以外を飛ばして読むとかですね。他には、既に知っていることについて書かれた箇所は読まないとか。

 でもこの読み方、確かに時間短縮はできるのでしょうが、少々もったいなく感じます。ぼくは「今までなかった視点や知識を得る」という目的で読書をしているからです。そのため、既に知っている内容であっても、自分の頭で思いつかなかった表現で説明されていれば、それはぼくにとって読む価値があります。また、読む前と後で、理解しているつもりだった事柄に対する認識が更新されることもあるでしょう。なので、読む価値があるかどうかは、読んでみないとわからないと思います。

反復周回系~つよくてニューゲーム~

 記憶の定着はペンキ塗りに例えることができます。一度でムラなく塗りつぶせるかというとそれは難しく、どうしても塗り残しが出てくる。だったら何度も反復することでくっきり強固な記憶を完成させよう、という考え方です。これを読書にも適用し、同じ本を何度も繰り返し読むことで理解が深まり、結果として読むスピードも向上する、というものです。

 普段のぼくの読み方はこれに近いです。わりとさらっと読むのであまり記憶には残りませんが、繰り返すことで理解を深めるタイプです。そんなぼくの記憶力では、ほぼ毎回 「え、こんなこと書いてあったん?」てなります。 読んだはずの文でさえこの有様なので、読む価値なしと決めつけて、意識的に飛ばすなんてとんでもない。

「高速読書」は抜粋系と周回系の混合

 さて肝心の高速読書ですが、上記の分類を踏まえて考えると
抜粋系6割、周回系3割+能力系1割を組み合わせた方法といえます。
※ここでいう能力系とは、うさんくさい人を選ぶ類のものではなく、脳科学に基づいたた集中力の高め方や読み方のコツなどを指します。

 以下、要約です。

読むべき個所にマーキングする一周目

 まず読書の目的を明確にし、言語化することが大前提。
その上で読書すると、読むべき個所が見つけやすくなる。その他の箇所は読み飛ばす(飛ばしてはいけない箇所は接続詞で判断できる)。
重要そうなページには折り目をつける。
この読み方で一周読むと、全体像が摑める上に重要なページがすぐわかる。

 注意点として、理解が追い付かない箇所があってもスピードを落とさないこと。二周目で理解できれば良い。

記憶を定着させる二周目

 折り目を付けたページの前後と、一周目で理解が追い付かなかった箇所を再確認するために読む。「本に書き込む」という行動でエピソード記憶を残す。喜怒哀楽を伴った殴り書きに近いメモの方が、より記憶に残りやすい。

アウトプットに繋げる三周目

 二周目までで、読む価値の高い(読書ノートをつける意味のある)本をふるい分けできる。三周目は、本で得た知識を具体的な行動に繋げる方法を考えながら読む。必要に応じて本や読書ノートに書き込む。

まとめ

他にはこんなことが書いてある

・読書のメリット、高速読書習得者の体験談
・各段階の注意点、具体的なテクニック
・アウトプットノートの書き方
・高速読書の変形パターン(難しい本や参考書向け)
・事例や研究結果
※個人的に面白かったのは、
・年収1000万クラスの人は月平均7冊読む(p.80)
・速読チャンピオンが45分で読んだハリーポッターの感想(p.57)
です。

綺麗なまま読みたい人には向かない?

 要約にも書いた通り、折り目や書き込み等のマーキングを多用する読み方なので、そこに抵抗がある人にとっては、そのまま取り入れることは難しいでしょう。 逆に考えると、普段本を汚さない人ほど、強烈なエピソード記憶として定着させることができるのかもしれません。また、マーキングする・しないに関わらず、読み方のコツやアウトプットの方法などは参考になると思います。

ちなみに、ぼくがマーキングしない理由

 「読み返すとき邪魔だから」です。どうしてもマークしたところに気を取られてしまって、そこしか読んでいないのに読んだ気になってしまうから。
 参考書のように、何度読んでも重要なポイントが変わらない本だとそれでいいかもしれません。しかし多くは、読み手の読解力や知識、 置かれた状況によって「刺さる」ポイントは違うはずです。

 「何気なく読み飛ばしていた箇所に、実はとても良いことが書いてあることに気付くことができた」というのはぼくにとって、読書の最大の楽しみの一つです。そしてそれは、自分の変化や成長を実感できる瞬間でもあります。本の内容そのものに変化がない以上、変わったのは読み手自身に他なりません。

 「古本として売れなくなるから」だなんて、別にそんなこと…違うですよ?

その他の気付き

・手書きで文字を書くのは良い
・時間を区切ると集中力が高まる
・語彙力(漢字、英単語)は、文字を目で追う時間を短縮する
・ドッグイヤーには二つの意味がある(ear/year)
・ポジティブな日記をつける習慣は、寿命を伸ばす

この投稿のINPUT

死ぬほど読めて忘れない高速読書/上岡正明
(ISBN978-4-7762-1052-8)

以上です。読んでくれてありがとうございました。

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